不動産のStepup

事例紹介

住宅の名義の一部を持っていた息子さんが事故で損害賠償請求を受け、債務超過状態に。そのため、住宅を差し押さえられてしまった親御さんの事例(T市・Y様)

●phase.1 受任

 とある弁護士さんからの紹介で弊社にいらしたY様は、「自分の家のことではないのですが」という話でご相談がスタートしました。
伺うと、困っているのはY様のご両親。
Y様は、ご両親が家を建てる時にご両親と一緒に住宅ローンの名義に一部、入られました。そのため、Y様はご両親のご自宅の持分を一部、持っておられます。
その後、Y様は結婚して家を出られましたが、ご両親の家の住宅ローンは実質的にご両親が全額支払っており、全く問題は発生していませんでした。
しかし。
先日、Y様は仕事上で事故を起こしてしまい、会社から損害賠償請求を受けてしまいました。その影響で、Y様の財産に差し押さえがかかってしまう事態に。
となると、問題はY様がお持ちのご両親の家の持分。
当然、その分も差し押さえがかかり、競売の一歩手前まで来てしまいました。
さて、どうしましょう、というわけで任意売却も視野に入れてご相談を承りました。

 

●phase.2 打合せ

 早々に、今度はご両親ともお話をさせていただくことに。
 ご両親は、ただただ困っておられました。

・どうしてこんなことになったのか
・これからどうなるのか
・どうしたら競売を回避できるのか

 最初は、冷静にお話もできないくらいでしたが、辛抱強くお話をさせていただいていると、だいぶ事態をご理解いただけ、ご協力をいただけるように。

 

●phase.3 打合せ②

今回の事態で、困っていたのはご両親だけではありませんでした。
住宅ローンを貸し出している、銀行さん。
銀行さんとしては、とりもなおさず「住宅ローンの当事者が差押え等の事態になってしまって、担保物件が競売に処される」わけですから、そのまま静観しているわけにはいきません。
ただ、ご両親とこの銀行さんとも長いお付き合いであるため、あまり物騒な話にはしたくない。ということで、銀行さんからも何とかならないか、というお話が。

 

●phase.3 対策

今回の事案への対策は、下記の方法を提案させていただきました。

① ご両親(またはご親族など)がY様の損害賠償請求額を肩代わりする
② ご両親がご自宅のY様の持分を任意売却で購入してしまう

 実際には、②に関しては、住宅ローンの担当の銀行さんからもいいお返事をいただけませんでした。というのは、Y様の持分を購入するということは、ご両親が二人で残りの住宅ローンを負担する形になります。現在、お仕事も引退されて年金等の収入で余生を暮らしておられる方に対して、Y様の持分分の住宅ローンを改めて負担させるのは銀行としては不可能、という話。
 と、なれば、①の方向で進めましょうということで、Y様、ご両親、銀行さん、債権者との合意ができました。

 

●phase.4 実行

 ①の案の実行に当たり、必要なのはご両親からY様への資金移動と、それを間違いなく債権者さんへ支払う手段。
 資金移動に関しては、ご両親がY様に「お金を貸した」形をとることにしたため、私が行政書士として「金銭消費貸借契約」という書類を作成させていただき、そこにご両親とY様とでご署名・ご捺印をいただいておきます。
 その契約に従って資金を移動するわけですが、そこは住宅ローンの担当の銀行さんにご協力をいただいて、ご両親の口座からY様の口座に資金が振り込まれた瞬間に、Y様の口座から債権者の口座へ資金が振り込まれるように段取りを取っておきます。
 こんな面倒な手続き・段取りをするのにも訳があります。
 ご両親の口座からY様の口座に資金が移動したとたんに、Y様の口座から何かの資金が引き落とされたら、債権者への支払いができなくなってしまいます。こういう事態を予防するためなんです。

 

●phase.5 完了

上記の手続きが完了したら、すぐに債権者に着金の完了と金額の確認をお願いします。
それが完了したら、完済証明書(領収証)の送付を依頼し、また、同時に裁判所への差押取下げ申請をしていただいたことを確認。間もなく、差押取下げ申請書の控えが弊社にメールで届きました。
 これをもって、弊社の任務完了。

 

●phase.6 その後

 Y様やY様のご両親から、差押取下げ通知が裁判所から届いて安心しました、とよろこびのご連絡がありました。
 私としても、一安心。
 ただ、今回はこの場をしのいだだけにすぎません。Y様の経済的な自立が最終的な解決となりますし、また、その間にご両親のご自宅のY様持分をどうにかしておいたほうがお互いに良いでしょう、とアドバイスをしておきました。

 

●お客様(Y様・ご両親)の声

 弁護士さんから、不動産屋さんに相談に行けといわれたときにはどうなることかと思いましたが、競売というような最悪のパターンにならずに済んで、本当に良かったです。
 いろいろなところとの交渉や調整をお任せできて本当に助かりました。

社団法人 全日本不動産協会 富山県本部
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