不動産売買や賃貸には、各種許認可が必要なことがよくあります。 例えば、農地転用、水路農道の占用許可(法定外公共物の占用許可)、テナント看板の設置許可(届出)など。 また、「相続」というキーワードを考えた際にも、不動産の取り扱いが必要な場合があります。 弊社では、こういった場合に不動産の売却、賃貸の可否、有利、不利、そしてその際の手続きの流れ、メリット・ディメリットなどを総合的かつワンストップでお手伝いさせて頂いております。
【 農地法第3条第1項第12号に注意です 】
第2320日
みなさんこんばんは!
今日は、ちょっとした豆知識。
「農地法第3条第1項第12号に注意です」
ここのところ、遺言書を書いておきたいというご要望が立て続けに舞い込んできたので、それに関連づけて。
農家さんが遺言書を書きたいと言われたら、ちょっと注意しましょうね。
これは何かというと。
農地の所有権を移転する場合に、農地法上の許可が「不要」になる場合の一つが書かれています。
なんて書いてあるかというと
『遺産の分割、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百六十八条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する裁判若しくは調停又は同法第九百五十八条の三の規定による相続財産の分与に関する裁判によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合』
つまり
・遺産の分割の場合
・民法768条第2項に書いてある状況に該当する場合
→ 離婚の際の財産分与について、家庭裁判所の裁判または調停があった場合
・民法958条の3に書いてある状況に該当する場合
→ 相続の場合における特別縁故者への所有権移転の場合
この場合には、農地法上の許可は不要です、と書いてあります。
ここで注意を要するのは、
「遺贈」
の場合が記載されていないこと。
例えば、農家さんが遺言書を記載して、自分の相続人ではないけど、●●さんに自分の農地を引き継いでもらいたい、と思い、
「◯◯の農地は、●●に遺贈する」
と、遺言書に書いたとします。
この遺言書自体は有効です。
有効は有効ですが、実際にこの遺言書に従って所有権を移転しようとすると、
「農地法上の許可(農地法第3上許可)が必要」
ということで、申請が却下されてしまいます。
では、どうすればいいのか。
ここでちょっと頭の隅っこに置いておいてほしい言葉があります。
「包括受遺者」
という言葉。
まず、「遺贈(遺産を贈与すること)」を受領する人のことを
「受遺者(じゅいしゃ)」
と言います。
この、遺贈ですが、2種類あります。
・あげるものが具体的に決まっている場合(「この鉛筆を」「この不動産を」など)
→「特定遺贈」と言います。
・上げるものが「全部」または「割合でしか」決まっていない場合(「財産の3割」など)
→「包括遺贈」と言います。
この、「包括遺贈」を受領する人のことを
「包括受遺者(ほうかつじゅいしゃ)」
と言います。
この「包括受遺者」ですが、民法の990条で、
『包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。』
と、決められています。
と、いうことは、包括受遺者への包括遺贈は「相続人への相続」と同じ効果を持ちます。
そうすると、農地法第3条第1項第12号の「遺産の分割」に該当して、農地法上の許可は不要となる、という理屈。
この理屈を知らずに、遺言書を書いたとします。
自分の農地の後継者に
「遺言書書いておいたから大丈夫、あとはお前が頑張ってくれな」
なんて言っていたとしたら???
大丈夫じゃないかもしれませんよ??
遺言者さん、その遺言、大丈夫ですか?
専門家の皆さん、お手伝いをさせていただいたその遺言、大丈夫ですか?
なんて。
たまにはちょっと、それっぽいことを書いてみました^^
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最近、文例を探すのによくお世話になる加除式。
今までは「飾り」か「鈍器」でしかなかったけど、参考にさせていただいています!!
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