●phase.1 受任
T様は、お住まいであった住宅の「住宅ローン」に行き詰まり、弁護士さんに相談をして「自己破産」をする予定でした。しかし、そこで弁護士さんに「先に自宅を処分してください」と指示をされてしまったのです。
地元の不動産屋さんに相談をするも、
「住宅ローンの残っている不動産は売却できない」
と断られました。
また、相談を受けてくれた他の不動産屋さんも家の状態を見て、難しい、と判断をされたようです。
確かに、私が現地を拝見させていただいた際にも、建物の保存状況や建物内部に残された動産の量等から考えて、一般的な方法で売却をするのは難しい、と判断しました。
ただ、「難しい≠不可能」です。
そこで、T様と現状をお話しし、何が「難しい」のか、そしてその理由、加えて、私が考えている対応策、そのメリットとデメリットをお話しさせていただき、弊社にご依頼をいただきました。
●phase.2 交渉
まずやるべきことは、債権者との交渉です。
といっても、債権者の交渉窓口を「確定」させる所から。
今回は、とある地元のA信用金庫さんからの住宅ローンでした。そして、そこにB保証会社さんの保証がついている状態。
今はまだ、債権はA信用金庫さんにある。そこで、まずはA信用金庫の担当次長さんとのお話から。もうすでに数回滞納を重ねてしまっていることや、ご本人となかなか連絡がつきにくくなっていたことから、委任状や任意売却を望む旨の書類をお渡しすると、すぐに事情を察してくれ、B保証会社さんへの連絡に着手していただくことになりました。
そうなると、次はB保証会社さんとのお話になります。
B保証会社さんとは、T様には自己破産のご希望があることをお伝えしたうえで、不動産の現状を写真や査定書、その査定の根拠となる書類などを元にして、売却の方向性や妥当な売却価格を一緒に見定めます。
●phase.3 販売開始
いざ、販売開始となると、なかなか気を遣うものです。
もともと、この住宅にはT様が居住したままです。なので、「売物件」などと看板を立てるわけにもいきませんし、「好評発売中」などとチラシを作ってばらまくわけにもいきません。
また、最初に「難しい」と判断したポイントが改善されているわけではありません。そのポイントとは、
・保存状態が悪い(痛み・故障・におい等)
・大量の動産が残ったままである
ざっくりと、この2点。
動産の処分や建物の修理などを行ってから売り出せばすぐに売れるだろうとは思うのですが、費用の問題でそれは難しいですよね。
となると、せっかく広告をしても、現状のままを見て頂かざるを得ず、一般のお客様ではなかなか現地のご案内の時点で引かれてしまいます。
その点を踏まえ、いろいろな作戦を練っていくわけです。
●phase.4 引っ越し
ともあれ、買主様が決定しました。
今回の買主様は、とある不動産業者さん。
不動産業者さんの買取を選択した理由は下記のとおり。
・リフォームや動産処理の後のイメージをしっかりと持っていただける
・売主が個人である中古住宅のデメリットをしっかり把握しておられる
・売却後の「瑕疵担保責任の不担保」という条件を十分理解していただける
・引越日等の状況をある程度理解していただける
買主様が決まれば、あとは早々にT様にお引越しをしていただいてお引き渡しの準備にかかるところですが。
ここでも問題があります。
「引越し費用をどこから捻出するか」
「そもそも、お引越し先をどうするか」
この二つのポイントをT様、買主様のご協力を得て、また、少し弊社もお手伝いをさせていただき、なんとかクリア。お引越しもスムーズに完了しました。
●phase.5 引渡・完了
ここまでくると、あとはスムーズ。
細かいポイントには本当に気を使いますが、それでも今までのハードルに比べれば大したことはありません。
お引渡しの日には、T様、買主様、保証会社の担当者、担当の司法書士、私の5人が集まって手続です。
●phase.6 その後
弊社より、担当弁護士さんにお渡しする不動産の処分に関する記録等をお渡しし、裁判所への申請に備えていただきます。
また、T様には来るべき「不動産売却の譲渡所得税の申告」に向けて、こちらも記録をファイルにまとめ、お渡ししておきます。
●お客様(T様)の声
弁護士さんに「不動産を売却してください」と言われたときに、自分でまず何をすればいいか全くわからず、本当に困りました。弁護士さんの対応や債権者さんの対応、引越し先の手続きなどもすべてお願い出来て助かりました。