不動産売買や賃貸には、各種許認可が必要なことがよくあります。 例えば、農地転用、水路農道の占用許可(法定外公共物の占用許可)、テナント看板の設置許可(届出)など。 また、「相続」というキーワードを考えた際にも、不動産の取り扱いが必要な場合があります。 弊社では、こういった場合に不動産の売却、賃貸の可否、有利、不利、そしてその際の手続きの流れ、メリット・ディメリットなどを総合的かつワンストップでお手伝いさせて頂いております。
みなさんこんばんは!
早速ですが。
(今日は長いので、興味がなければ飛ばしてください)
本日、僕宛に、知り合いの業者さんから質問が。
「今お手伝いさせて頂いている土地売買の件なんだけど、売主さん側の業者が、
申込金を入れてくれって言ってきたんだよね。」
「それ自体はもちろん問題ないんだけど、【買主都合でのキャンセルの場合は、返金しません】って言ってきてるんだよ。ウチの若い子がそれってダメなんじゃないかって言っても、向こうは【何も問題ない!】の一点張りでさ」
とのこと。
なんと。。。
まだそんなことを言う不届きな業者が、しかも身近に・・・
本当に恥ずかしい。
あのね。
その行為は違法性がある可能性があります。
買主側の都合でのキャンセルでも。
もちろん、申込をして、契約を行うための事務作業がもう相当レベルで進んでいた場合においては、その事務作業費用相当は差し引かれても仕方がないと思います。ですが、10万円も20万円もかかりませんよね。
以下に、「違法性がある可能性があります」と僕が言った根拠を掲載します。
根拠① 宅地建物取引業法 第47条の2 第3項
宅地建物取引業者等は、前二項に定めるもののほか、宅地建物取引業に係る契約の締結に関する行為又は申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為であつて、第三十五条第一項第十四号イに規定する宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令・内閣府令で定めるもの及びその他の宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。
ここで、宅地建物取引業者(要は不動産屋さん)は、契約の締結に関する行為や「申込の撤回もしくは解除の妨げに関する行為」になるような、国土交通省が決めたことはしてはいけませんよ、って書いてあります。
じゃ、その「国土交通省が決めたこと」とは何かと言うと。
根拠② 宅地建物取引業法施行規則 第16条の12
法第四十七条の二第三項 の国土交通省令・内閣府令及び同項 の国土交通省令で定める行為は、次に掲げるものとする。
二 宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。
ね。
ちゃんと書いてあるでしょう。
「宅地建物取引業者の相手方等」と言うのは、買主であることが一般的ですよね。
つまり、買主が申込の撤回(≒キャンセル)をする場合に、「すでに受領した預り金」を返還することを拒んではいけないって言うこと。
では、「申込金」は、すでに受領した「預かり金」なのか。
根拠③ 「商事法務研究会・不動産取引」より
一般には、契約申込証拠金とは、「購入希望者が真実買主として売買契約を締結する意思があることを確認し、その証拠として売主たる分譲業者等に預託する金銭であって、その授受によって、その購入希望者の申込の優先順位は確保され、売主は一方的に契約の締結を拒否することはできず、契約締結時には手附金に充当し、契約が不成立の場合には売主は購入申込者に返還する義務があるもの」
だそうです。
学者先生は、そう仰っておられますよ。
また、こんな通達もあります。
根拠④ 昭48・2・26建設省計宅業発第16号の1 建設省計画局不動産業室長通達
最近、業者が宅地又は建物の売買において、契約が成立しない時申込証拠金を顧客に返還しない旨を表示する事例が見受けられ、その額も甚だしいものは10万円に達している。しかし、申込証拠金の額が申込の事務処理に通常必要とされる費用の額を大幅に上回って授受される場合は、宅地建物取引に関する著しく不当な行為にあたると思われるので、参考までに通知する。
ほらほら。
確かに、買主の申し込みを受けて、契約書の作成や重要事項説明書の作成に着手しているわけですから、その事務手数料相当の徴収まで否定はしていませんが、それでも10万円もの聴衆は事務手数料としては行き過ぎだと言っています。
また、消費者契約法の第9条や第10条に照らして、やはり「申込金を返還しない」旨の条項というのは如何なものか、僕はそう思います。
まぁ、ここまで長くごちゃごちゃ書いてきましたが。
不動産のプロとして不動産流通に携わるのならば、お客様双方の理解を得られるような、そんな仕事をしないといけないと思います。
また、上記に挙げたような宅地建物取引業法の条項、宅地建物取引行法施行規則の条項が決められたその「精神」、根拠④の建設省の通達が出た意味や経緯を考えていく必要が僕はあると思います。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
〜不動産売買から農地転用・許認可まで〜
株式会社不動産のStepup
行政書士・相続診断士事務所Stepup
TEL:076-482-5489
E-mail:stepup@fudousan.ne.jp
HP:https://fudousan.ne.jpstepup/