相続放棄をしたいけれど・・・(3)

みなさんこんばんは!

さて今日も、一昨日からの続きを。
②相続財産である不動産が、普通に考えて処分(売却)できる見込みがほぼないこと。
相続財産に不動産がある場合。
それを普通に相続して利用する場合はそれでいいのですが。
相続人さんが全員、「いらない」と言い出したらどうしましょう。

普通なら、「売却して、そのお金を分けよう」となりますよね。
でも、どう見ても「売れないだろ・・・」っていう場合はどうします?
放っておきますか?
不動産というのは、誰も管理をしないと雑草が生えます。痛みます。その挙句、他人に迷惑をかけてしまいます。
その時に、責任の取るのは誰か。
もちろん、その所有者であるところの相続人です。
そして、固定資産税もかかってきます。
これらが「負担」になりますね。
では、その「負担」を避けるために、頭をよぎるのが「相続放棄」です。
「放棄してしまえば、相続していないんだから責任とらなくてもいいんじゃない?」
全く外れではありませんが。。。
民法第940条
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
例えば、あなたが相続放棄をした結果、他の誰かが相続をすれば、もちろんそれでOK。
じゃ、あなたも含めて相続人全員が放棄をしたら?
上の条文の中をよく読んで見てください。
「その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで〜」
と書いてありますよね。
相続人が全員、相続放棄をした場合、「その放棄によって相続人のなる者」がいません。
ということは、、、
相続放棄をしても、あなたを含めた相続人さんたちは「自己の財産におけるのと同一の注意を持って、その財産の管理を」しなければならなくなります。
つまり、その不動産の瓦が飛んだ場合は、あなたの家の瓦が飛んだのと同じような責任を負うことになります。なので、あなたの家と同じように、ちゃんと管理しなさいよ、ということ。
では、それを避けるためにはどうするのか。
「その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができる」ようにすればいいわけです。
それはどうするか。
「相続財産管理人」という人を家庭裁判所に選任してもらうわけです。
これはどういうことかというと。
そもそも論ですが。。。
(無主物の帰属)民法第239条
2  所有者のない不動産は、国庫に帰属する。
こういう法律があります。
そして、相続人が全員、相続放棄をすると、確かにその不動産は相続人のものではなくなるので、固定資産税の支払い義務等は免れます。
つまり、本来は国のもの。
でも、国はそういう不動産を受け取りません。
それはなんでか、というのは、また機会があればお話ししたいと思いますが。。。
何れにしても、先ほどの民法940条が出てくるので、管理責任だけ、残ると。
じゃ、その管理責任もなんとかしたいということで、相続財産「管理人」を選任してもらうということ。
なるほど、じゃ、その相続財産管理人を選任してもらえば万事OKですね!
確かに。
してもらえば、です。
選任をしてもらうためには、「予納金」というお金が必要です。
この額は、事案によって家庭裁判所が決定しますが、数十万円から100万円程度になることも。
そう。
結構高いんです。
それを払えるくらいなら・・・
なんて思われる相続人さんが多いのもうなづけます。
さて、ここまで見てきて、どうですか?
最後に、「じゃ、誰かに寄付してしまえばいいんじゃないか?!」って思われた方。
国がダメなら「県や市町村」、「赤十字などの団体で生かして貰うのはどうだろう」。
こんな声が聞こえてきそうです。
考えてみてください。
売却もできなさそうな不動産を、県や市町村、そしてそういう団体が「欲しがる」って、かなり特殊な事例でしょう。
赤十字などの団体などは、遺贈寄付等の条件にきちんと書いてあります。
「不動産は売却するなどしてから」
「不動産の遺贈寄付は受け取れません」
などと。
今日も長くなりましたが、「普通に考えて処分(売却)できる見込みがほぼない」ことの難しさ。
少しご理解いただけましたでしょうか??
ファイル_005
(写真はイメージです)

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